まとめ

ドコモの2019年新料金プランまとめ 負担軽減を実感するまでには何年かかかる

ドコモが2019年4月15日に発表した新しい料金プランについて、スマホ向けのプランに絞って内容を整理しました。

整理すべき内容がとても多くて分かりやすくまとめることができず、結局は自分用のメモみたいな記事になってしまいましたが、最後にはちょっとした考察もありますのでよろしければ参考にしてみてください。

なお、一応内容は精査していますがもしかしたら漏れや誤りがあるかもしれないので、お気づきの場合はコメント欄かTwitterにてご指摘いただけると嬉しいです。

提供開始日

2019年6月1日より新料金プランの提供が開始されます。それに先駆けて5月22日より予約受付が開始されます。

予約しておけば提供開始と同時に新料金プランを利用できます。

プランは2択

新料金プランでは、スマホ向けのプランは「ギガホ」と「ギガライト」の2つしかありません。このどちらかを選択する形になります。

それぞれの内容と料金(税抜)は下表のとおりです。

プラン名 月額料金 利用可能データ量 利用可能
データ量
超過後速度
ギガホ 6,980円 30GB 下り最大1Mbps
ギガライト ステップ4
<~7GB>
5,980円 7GB 下り最大128kbps
ステップ3
<~5GB>
4,980円
ステップ2
<~3GB>
3,980円
ステップ1
<~1GB>
2,980円
※この記事内で記載する料金はすべて税別です。また、ギガホ / ギガライトの月額料金は2年定期契約をした場合の料金です。2年定期契約とはいわゆる「2年縛り」のことで、2年間同一回線の継続利用を条件として料金が設定されています。2年定期契約なしの場合は+1,500円が加算されます。大手携帯会社では2年定期契約での契約が一般的です。

細かく説明していきます。

通話、データ通信、ISPがワンセットに

新料金プランでは、これまで別々に提供されてきた「電話(音声通話)」「データ通信」「ISP」の3つがワンセットになりました。

ギガホかギガライトのどちらかひとつを契約するだけで、電話もインターネットもすべてできるようになっています。

かけ放題はオプション制に

電話ができると言っても通話し放題というわけではなく、これまでどおり自分から発信して通話したときには、通話した分の通話料がかかります。

通話料はこれまでと同じ30秒ごと20円。家族間の国内通話だけは無料です。

家族以外の相手に頻繁に電話をかけるような場合、新しく用意された「音声オプション」への申込みが推奨されています。下の2つです。

かけ放題オプション(月額1,700円)
国内通話がかけ放題になる。
5分通話無料オプション(月額700円)
5分以内の国内通話なら通話料金がかからなくなる。5分を超えると通常の通話料金がかかる。

これらはオプションなので、ギガホ / ギガライトの料金とは別に上記の料金がかかります。

たとえば「ギガホ+かけ放題オプション」で利用する場合、毎月の料金は月々8,680円(6,980円+1,700円)となります。

ギガホとギガライトの違い

まず「ギガホ」から見ていきましょう。

ギガホの月額料金は6,980円です。ひと月に利用できるデータ通信量は30GBまでで、30GBまでならいくら使っても料金は変わりません。

高額なプランですが30GBというとヘビーユーザーでも簡単には使い切れない量ですから、ギガホは容量を気にせず使いたい人向けのプランと言えます。

次に「ギガライト」です。

段階制の定額プランとなっていて、利用したデータ通信量に応じて2,980円から1,000円刻みで料金が上がっていき、5,980円で止まります。利用できるデータ通信量は7GBまでです。

例えば月末時点で1GB以下の通信量だったなら上表の「ステップ1」に位置するので、その月の料金は2,980円ということになります。

データ通信をしなければ段階は上がらないので、ギガライトはできるだけ料金を抑えたい人向けのプランと言えます。

ギガホは速度制限後もそこそこ快適

ややこしくなるので上ではあえて触れませんでしたが、ギガホとギガライトでは利用可能データ通信量を超えた後の通信速度にも違いがあります。

具体的には、ギガホは下り最大1Mbpsに、ギガライトは下り最大128kbpsに制限されます。

ドコモはこれまでどのプランでも容量超過後の速度を一律128kbpsに制限してきましたが、新料金プランのギガホでは最大1Mbpsにまで制限が緩和されました。

あくまで最大速度なので期待しすぎてはいけませんが、仮に常時1Mbpsの速度が出るとすると、たとえばYouTubeでは240p程度の低画質でなら動画を途切れることなく再生できるなど、速度制限を受けた状態でも多くのケースでそこそこ快適に利用することができるので、ギガホは月間30GB以上の価値があると言えます。

(とは言っても、人によっては速度制限を受けること自体が稀でしょうし、そもそも常に高速な通信を求めるギガホの契約者が、速くなったとはいえ1Mbps程度の速度で満足するとは思えないので、期待するほどの恩恵は得られないというのが実際のところです。)

タブレット向けの「データプラス」

タブレットユーザー向けに「データプラス」というプランが用意されます。

データプラスは、契約中のギガホ / ギガライトのデータ通信容量をシェアする形で、タブレットでデータ通信ができるようにするためのプランです。

データプラスの月額料金は1,000円です。ギガホ、ギガライトの料金に+1,000円するだけで回線を増やすことができるのでお得です。

2台目のスマホ用としても契約できますが、データプラスの回線では通話ができないことに注意です。また、ギガホ / ギガライトの契約名義と同じ名義でなければ契約できない点も覚えておくべきです。

割引サービスと特典

新料金プランには、「みんなドコモ割」と「ドコモ光セット割」という2つの割引サービスが用意されていて、適用条件を満たすことでギガホ / ギガライトの料金を下げられるようになっています。

みんなドコモ割

「みんなドコモ割」は、ファミリー割引グループ内に音声回線が2回線あれば毎月500円、3回線以上あれば毎月1,000円を、グループ内すべてのギガホ / ギガライトの月額料金から自動的に割り引くサービスです。

音声回線というのはケータイプランや旧料金プランも含むので、ドコモユーザーが多い家族なら自然と条件をクリアできます。割り引かれる対象はギガホ / ギガライトの月額料金からなので、ギガホ / ギガライトの契約が多いほど割引総額は増え、お得感も大きくなります。

「2in1」、「キッズケータイプラス」、「キッズケータイプラン」は音声回線の数として数えることができないので注意が必要です。

ドコモ光セット割

「ドコモ光セット割」は、ファミリー割引グループ内にドコモ光の契約があれば、グループ内すべてのギガホ / ギガライトの月額料金から最大1,000円を自動的に割り引くサービスです。ギガライトのステップ2は割引額が500円で、ステップ1は割引がありません。それ以外は1,000円が割り引かれます。

なお、家族でドコモを利用するとさまざまな特典や割引が受けられる「ファミリー割引」ですが、グループ化できる対象は代表回線契約者から三親等の方までと、かなり広いです。

離れて暮らす両親や子供とみんなでグループを組めば、自分がドコモ光を契約していなくても、たとえば両親宅で契約があれば自分も割引の対象にすることができます。このルールは「みんなドコモ割」にも当てはまります。

ずっとドコモ特典

「ずっとドコモ特典」は、ドコモのポイントプログラムである「dポイントクラブ」のステージに応じて、毎年dポイントがもらえるという特典です。

1stステージで500pt、2ndステージで1,000pt、3rdステージで1,500pt、4thステージで2,000pt、プラチナステージで3,000ptが、新料金プラン契約者の誕生月に付与されます。

キャンペーンによる一時的な割引

恒久的に提供される上記割引サービスのほかに、キャンペーンによる一時的な割引も用意されています。下記の2つです。

ギガホ割
2019年9月30日までにギガホに加入すると、最大6か月間、月額1,000円の割引が適用されます。
はじめてスマホ割
ドコモケータイまたは他社のケータイからドコモのスマホに乗り換え、ギガホ / ギガライトに申し込みをすると、最大12か月間月額1,000円の割引が適用されます。

9月30日までにケータイからスマホに乗り換えてギガホを契約した場合、割引額は合計で2,000円になるので、6か月間は月々4,980円で利用できる計算です。さらにみんなドコモ割とドコモ光セット割の割引も上乗せされるので、とてもお得に利用できますね。

ただしあくまでも一時的な割引なので、キャンペーン終了後の通常料金をベースに検討しないといけません。

現行プランや割引サービスについて

新規受付は5月末に終了、継続利用は可

新料金プランの提供開始に伴い、現行の「カケホーダイ&パケあえる」の料金プランおよびdocomo withなどの割引サービス、月々サポート、端末購入サポートなどの割引サービスは、2019年5月31日をもって新規受付終了となります。

終了となるのは申込受付だけでサービス自体は継続されるので、新料金プランの提供開始以降も現行のプランや割引サービスのままスマホを使い続けることができます。

大きな端末購入補助は提供されない

法改正によって通信量と端末代を切り離す、いわゆる「分離プラン」が義務化されることで、新料金プランではこれまで提供されてきた月々サポートや端末購入サポート、docomo withといった高額な割引サービスは提供されない(できない)ことになっています。実際、今回の報道発表ではこれらと同等の割引サービスは発表されていません。

しかし、割引額はこれまでよりも小さくなるものの、スマホ本体を購入しやすくするための何らかの割引は提供する予定があるとのことです。5月に開催される夏モデル発表会でその内容が発表される見込みです。

新プランへの変更で割引適用が終了する点に注意

現行プランで月々サポートやdocomo withによる割引を受けている場合、新料金プランへの変更によってこれらの割引適用が終了となります。また、端末購入サポートの規定利用期間中に新料金プランに変更した場合、所定の解除料が発生します。

新料金プランによって月額料金は下がりますが、これらの割引が受けられなくなれば、トータルの料金はそれほど変化がなかったり、逆に高くなってしまうケースもあります。

現在の契約内容によって割高になるか安くなるかが違ってくるので、ドコモショップで相談するなど、事前に確認しておきたいところです。

感想

シンプル化は評価できる。負担減については実感できるまで数年を要する。

プラン選びが二者択一になり簡単になりました。また、割引サービスの内容や条件がシンプルに整えられたので、どのように契約すればお得になるのかをユーザー自身がより簡単に判断できるようになりました。これらによってプラン選びにかかる労力や時間といった負担が軽減されます。ドコモショップの混雑もいくらか改善されるかもしれませんね。

シンプルになったことで選べるプランが減って細かな要望に応えられなくなったという意見もありますが、来年の春にはもう5Gサービスが始まる予定であり、そのための新しいプランも加わるわけですから、私としてはこのタイミングでシンプル化に踏み切ったのは英断だったと評価しています。

値下げについてはどうでしょうか。今回ドコモは、現ドコモユーザーの7割を占める「家族で3回線以上」のユーザーを主な対象にし、従来より2~4割安くなるよう料金設計をしたと説明してます。

実際に、現行の「ウルトラデータLLパック+シンプルプラン」からほぼ同じ内容のギガホに乗り換えた場合、8,480円から5,980円へと料金が約3割下がることになりますし、ギガライトについてもデータ通信量が1GB以下なら従来のベーシックシェアパックの最安値である3,480円と比べて4割低い1,980円で利用できます。

利用プランや条件によっては料金がほとんど変わらないケースもあります。しかしそれでも7割のユーザーはいくらか恩恵を受けられるわけで、素直に評価するべきなのではないかと思います。

ただし上でも少し説明しましたが、現在の契約で月々サポートなどの割引サービスの割引が残っている場合、新料金プランに変更しても料金が変わらなかったり、逆に割高になってしまうケースもあり、新料金プランの提供開始と同時に乗り換えるのが必ずしも正解とは限りません。多くの場合、現在受けている割引を受け終わってから新料金プランに乗り換えるというのが理想の形になると予想されます。

また、新料金プランでは高額な端末購入補助が提供されなくなるので、スマホ本体はこれまでよりも高い額で販売されることになります。これは何を意味するかと言うと、同じ機種を長く使い続けた方が(頻繁に機種を買わない方が)、通信料金の値下げによる恩恵を受けやすくなったということです。

こうしたことから、多くのユーザーが通信料金の値下げを実感できるようになるには、年単位の期間が必要になってくると考えられます。