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Galaxy S9 / S9+発表。可変絞りに対応した新しいカメラシステムを導入。ARスタンプ作成機能も

現地時間の2月25日、Samsungがスペイン・バルセロナでAndroidスマートフォンの新機種「Galaxy S9」および「Galaxy S9+」を発表しています。

一部の国では3月19日より発売されます。日本での発売についてはまだ発表がないものの、毎年新モデルが発売されているだけに今回も期待が高まります。サムスンの日本語サイトにはすでに製品ページが立ち上がっています

Galaxy S9 / Galaxy S9+は、昨年発売されたGalaxy S8 / Galaxy S8+の後継機種です。外観やディスプレイに大きな変化がないものの、新しいカメラシステムを導入したことでユニークなモバイル体験ができるようになっています。また、2つの生体認証を組み合わせた新しいセキュリティーシステムは、これからのモバイルセキュリティーの標準となる可能性を秘めています。

本体デザインとディスプレイはほぼ変わらず

ディスプレイの仕様はS8 / S8+から変わっていません。S9が5.8インチでS9+が6.2インチ。解像度はどちらも2,460×1,440ドットで縦横比率は18.5:9。

Curved Super AMOLEDという左右両端が湾曲したパネルを採用し、前面のほぼ全てがディスプレイのように見えることからSamsungは「Infinity Display」と呼んでいます。S9 / S9+ではさらにベゼルが狭くなって進化している模様です。虹彩スキャナーも組み込み方を変えることで目立たなくなり、映像への没入感が高まったのだとか。

本体デザインも基本の形は変わっていません。ただし細かなブラッシュアップはされていて、たとえば指紋センサーは本体を持った時に自然と人差し指が当たる場所に配置が変更されています。

また本体のサイズも若干変わっています。縦幅が1~2mm短くなり、横幅と厚さは増しました。そして重くなりました。
引き続きIP68準拠の防水・防塵に対応しています。

  • S9:147.7mm x 68.7mm x 8.5mm, 163g
  • S9+:158.1mm x 73.8mm x 8.5mm, 189g

本体カラーはS9 / S9+共通で、コーラルブルー、チタニウムグレイ、ライラックパープル、ミッドナイトブラックの4色が用意されます。

スピーカーはステレオに

Galaxy Sシリーズで初めてステレオスピーカーを備えました。世界的オーディオブランドであるAKG(ハーマン傘下)が製造したスピーカーで同社がチューニングもしています。またDOLBY ATMOSにも対応しました。

これまでモノラルスピーカーだったGalaxy Sシリーズはサウンドが今ひとつとされていましたが、これで死角はなくなりました。

大きく変わったカメラシステム

可変絞りに対応

今回もっとも進化したところと言えばカメラです。スマートフォンとしては大変珍しい、機械式の絞りに対応したのが特徴で、場所の明るさに応じて自動的に羽根を開閉させてF1.5とF2.4を切り替えます。

暗い場所ではより光を集めるF値1.5に絞りが開き、できるだけ明るく撮影。一方、日中、明るい場所ではF値2.4に切り替わり、シャープで鮮明な写真を撮影します。

S9+はデュアルカメラに

S9+は標準と望遠の2つを組み合わせたデュアルカメラとなっています。シーンに応じて切り替えて使えるほか、視差を使った背景を美しくぼかした撮影が可能です。なお可変式の絞りは標準カメラの方だけが対応しています。望遠カメラはF2.4固定です。

自然と楽しめるスーパースローモーション

センサーは1,200万画素のSuper Speed Dual Pixelです。XperiaのMotion Eyeカメラのようにメモリを搭載し、強力なノイズ除去が可能になったことに加えて、960fpsでのスーパースローモーション撮影ができるようになりました(解像度はHD)。カメラが動きを検知して自動的にスローモーションで撮影を開始する機能や、撮影したスローモーション動画をロック画面に設定する機能も用意されていて、あれこれ考えなくても楽しめるようになっています。

自分そっくりの動くアバターが作れる「AR Emoji」

S9 / S9+の目玉機能と言える機能が「AR Emoji」です。前面カメラで自撮りすると自分そっくりな3Dアバターが作成できます。作ったアバターはメッセージアプリなどでスタンプとして使えます。

喜怒哀楽などを表現した18個の動くスタンプが自動的に作られるほか、自分で動きを録画して思い通りのスタンプを作ることもできます。

前面カメラのスペックはS8 / S8+から変わっていません。画素数は800万画素でF値は1.7です。

生体認証は顔と目の両方で

生体認証は引き続き指紋、虹彩、顔の3つに対応していますが、今回から「インテリジェントスキャン」と呼ばれるシステムが導入されました。

顔認証と虹彩認証でそれぞれの不足情報を補い合ってスムーズに認証できるようにする仕組みです。暗い場所でも識別されやすいとされています。

指紋は指が濡れていたらダメだし、マスクを付けていると顔認証ができないという具合にそれぞれ得意不得意がありますから、このように複数の生体情報を同時に取得して活かすやり方は今後標準となる可能性がありますね。

S9とS9+の違いはメインメモリと電池容量のみ

本体サイズとカメラを除いてS9とS9+の違いはメインメモリの容量とバッテリー容量のみです。

メインメモリーはS9が4GBでS9+が6GB。バッテリーはS9が3,000mAhでS9+が3,500mAhです。QuickCharge、ワイヤレス充電に対応しています。

OSはAndroid 8 Oreoを搭載します。

プロセッサは投入する国やキャリアによってQualcommのSnapdragon 845かSamsungのExynos 9810のどちらかが選択されます。どちらも4+4コアのbig.LITTLE構成のオクタコアプロセッサとなっていて、製造プロセスルールは10nmで、64ビットに対応しています。また、LTE Cat.18に対応し、下り最大1.2Gbpsの通信が可能です。

内蔵ストレージは64GB、128GB、256GBの3パターンが用意されていて、これも国やキャリアによって取り扱われるモデルが選択されます。

通信機能としては、Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0、USB type-C、NFC、各種ロケーション(GPS, Galileo, Glonass, BeiDou)に対応しています。

センサーは、虹彩、指紋、感圧、加速度、気圧、ジャイロ、磁気、地磁気、心拍数、近接、照度を搭載しています。

感想

外観にほとんど変化がなかったのは残念ですがそれだけ完成されたものだという考え方もできます。やはりInfinity Displayのインパクトは凄いですね。ひとりだけ次世代に行っている感じです。

カメラの可変絞りも面白い試みです。ただ、消費電力や故障率は気になるところです。スローモーション動画は自動的に撮ってくれるところがうれしいですね。機能を意識しないで自然に使えるというスタイルが良いです。

極めつけはインテリジェントスキャンシステム。これからのスタンダードを予感させます。

中国メーカーの台頭などによりスペック上の優位性はすでに失われていますが、本当に便利な機能や使い勝手の部分ではひとつもふたつも進んでいる印象です。Appleを過剰に意識している部分もまだ感じますが、一方でスマートフォンのリードメーカーとして世の中を変えるようなユニークな機能を自分たちの力で作ろうという意識も強く感じられるようになりました。これからの変化も実に楽しみです。


関連リンク:Samsung Mobile PressGalaxy S9/S9+製品ページ